学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)
そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。
でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。
前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
「アメリカの失業率」についてです。
目次
・はじめに
・20年5月の米国雇用統計
・ちょっと深読み
まだまだ注意が必要です
社会の断絶が広がったことも見えてきます
・おわりに
はじめに
20年6月5日に アメリカ 労務省が雇用統計を発表しました。先月から非農業部門の雇用者が250万人増加し、 失業率 が13.3%、に低下したことが見えました。3月/4月のロックダウンから、経済活動が再開されたことが示されています。でも、よく見てみるとまだまだ厳しい状況も見えてきます。ちょっと細かな数値も含めて、のんびりと紹介させて下さい☆
(4月の雇用統計を題材に「米国の雇用統計って何?」という点について、少し詳しくご紹介した記事があります。お時間あればお読み頂けますと嬉しいです♪ リンク )
20年5月の米国雇用統計
6月5日にアメリカ労務省から発表された雇用統計で、失業率が13.3%となったことが発表されました。だいたい8人に1人が失業というイメージですね。
4月の失業率は14.7%で、多くの人は5月の失業率は20%くらいになってしまうと想定していたので、ポジティブな驚きとして受け止められています。アメリカの株価もグッとあがりましたし、トランプ大統領も前向きなコメントを発表していました。
The unemployment rate was predicted to rise to over twenty percent in May.
— The White House (@WhiteHouse) June 5, 2020
Instead, it dropped. pic.twitter.com/zSs7Oy4pMF
第一回にてご紹介した通り(リンクはこちらです)、アメリカはとても大規模な経済対策を行っているため、経済が好転し始めたとみる事もできますね。ただ、ちょっと深く見てみると、少し違った視点も見えてきます。実際のレポートやデータを見ると、こういう発見があるところが、ちょっと楽しいポイントです♪ ←変わっていますね(笑)
ちょっと深読み
・まだまだ注意が必要です
とても良いニュースではありますが、少し違った見方をすることもできるんです。失業者は約2100万人ですので、やはりまだまだとても多いですね。グラフを見てみます。
画像出典元:米国労務省Webサイトより
https://www.bls.gov/charts/employment-situation/civilian-unemployment.htm
こちらは、失業率のグラフです。「13.3%」というレートだと少し実感がわきにくいと感じています。同じ見え方ですが、実際の失業者数が「約2100万人」であることが分かるグラフを下に示しますね。
2008年のリーマンショック影響があったピークでも失業者は1500万人程であることが分かるので、今回の数値がまだまだとても厳しいデータであることが分かりますね。
「もっと悪化する」と想定されていたものの、「少し改善した」ということは、いいニュースには変わりありません。ただ、「改善した」というコトバは、今はまだ「ものすごく悪い状態から、少し戻った」というように見えます。
そして、もう一つ注意が必要なことがあります。
実は「データには少し注意が必要」という補足がありました
実は「データには少し注意が必要」という補足がありました
レポートの最後に「コロナウイルスによって、調査に一定の影響が発生しました」という補足が書かれているんです。
・雇用されているものの、コロナウイルス関連の事業閉鎖のために仕事を休んだ修了者は、一時解雇の失業者として分類するように指示されている。
・一方で、雇用されていると記録されているものの「他の理由」のために仕事を休んでいる人が一時解雇の失業者として分類される場合、失業率は3ポイント高い
実質的な失業率は16%ぐらいだと考えた方がよさそうですね。
アメリカで権威のあるThe Washington Postでも、この補足に注目しています。(少し「民主主義」寄りですが、その報道姿勢はとても信頼されています。)
https://www.washingtonpost.com/business/2020/06/05/may-2020-jobs-report-misclassification-error/
社会の断絶が広がったことも見えてきます
アメリカで黒人の方が殺害されてしまったという悲しい事件がありましたね。そして、積極的なデモが全米各地で行われています。
George Floyd memorial set for when 3 cops appear in court to face new charges in 'I can't breathe' death https://t.co/itO1jKHCtD
— CNBC (@CNBC) June 4, 2020
この失業率、実は人種毎の内訳も存在します。失業率が低い順に、白人/アジア人/黒人/ヒスパニックとLatinoの失業率グラフを示しますね。
人種ごとに、失業率が大きく異なることが分かりますね。社会の中で比較的裕福な方や良い職業に付けている方の割合が、人種ごとに違いがあることが見えてきます。そして、今回の危機で、その差が改めて浮き彫りになっていますね。この状況を人々が失業という形で突き付けられたところに、悲しい事件が起きたことで、社会に対する大きなデモが起きている面もありそうです。
でも、アメリカは大きな課題が起これば、それを正そうとする力/修正する力も大きいとされています。今後の動きに、世界中が注目しています。これからも、のんびりと追いかけていこうと思っています。
おわりに
いかがでしたか。ニュースや新聞などは紙面や時間の制約もあるので、「失業率が13.3%に低下」といった紹介以上の情報がないこともありますが、実際のレポートやデータを見てみると、意外にいろいろと見えてくることがありますよね。
こんなところが、ちょっと楽しいんです。←変わってますね(笑)
今回も、長文にも関わらずお付き合いくださり、ありがとうございました♪
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