学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)

そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。

でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。

 

前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
米国は7人に1人が失業??」についてです。

目次

 

・はじめに

・「米国雇用統計」ってなに?

・最新レポート原文を、ちょっと詳しくご紹介

・おわりに

はじめに

米国雇用統計によると、アメリカの失業率が14.7%に急上昇、戦後最悪」というニュースがありました。14.7%って、7人に1人 が失業してしまっている… そもそも『米国雇用統計』や『失業率』って、分かったような、分からないような、少し難しいですよね。最新情報の思いっきりくだけた形で訳した内容も入れつつ、まとめてみました。お時間あるときにどうぞ☆

米国雇用統計って何?

アメリカの労働省、労働統計局(US Department of Labor. Bureau of Labor Statistics )が毎月発行している「米国の雇用状況」に関する情報です。アメリカの中央銀行も時々触れるほど、とても大事な情報です。Webサイトはこちらです。
https://www.bls.gov/home.htm?view_full

・なんで大事なの?
アメリカのGDPは約7割が個人消費なので、失業となり人々がお金を使わなくなると、景気が一気に悪くなってしまいます。そして、アメリカは世界一の経済大国なので、アメリカの景気が悪くなると、他の多くの国が影響を受けてしまうんですね。なので、みんながこの数字に注目しているんです。

・どんなレポートなの?
先日のレポートはこちらです。実は47ページもあって、概要と実際のデータがふんだんに入っています。そして、とっても便利で充実した情報だけど、公的機関が発行しているレポートなので無料。子供が3人いて学費に押しつぶされそうな私には、とっても助かります(笑)

(画像出典元:5/8BLS発行発行レポート)
https://www.bls.gov/news.release/pdf/empsit.pdf

原則第1金曜日ですが、2020年5月は第二金曜日にでてました。概要も付けてくれていますので、今回はその概要全文を、すっごくくだけた形でほぼ全部ご紹介してみたいと思います☆
概要英文はここからアクセスできますよ。
https://www.bls.gov/news.release/empsit.nr0.htm

最新レポート原文を、ちょっと詳しくご紹介

最新レポートって、かなり詳しく書かれていますが、実はそこまで難しい内容でもないんです。日本語に訳される中で堅苦しくなるため、どうしてもとっつきにくい情報になってしまっているようにも思います。

 

以前ご紹介しましたが、やはり理解を深めるには新聞やテレビなどは紙面や時間があるため「要約」となってしまうことから、1次情報を自分で読んでみることがおススメです。

 

近所のお兄ちゃんが、なんか優しく説明してくれているようなイメージで、ゆるーく訳してみました。ちょっぴり「ふざけて」いますが、レポート全文にほぼ忠実の内容/構成で書いていきますね。

 

では初めていきたいと思います♫

米国雇用統計レポート

2020年4月の「雇用統計」について説明するね。

米国労働統計局っていうアメリカの機関が、4月の非農業部門雇用者数が2,050万人減少し、失業率が14.7%に上昇したと5/8発行のレポートで報告したんだ。こんなに厳しいデータになっているのは、コロナウイルス(COVID-19)の流行とそれを封じ込める努力の影響が出ているためだよ。雇用はすべての主要な産業部門で大幅に減少してしまっているんだ。そして、特に「レジャー Leisure」と「ホスピタリティ Hospitality」での雇用が大幅に減少していたよ。

これからとても大切なグラフを2つ見せるね。画像出典元は上の文章と同じくレポート原文だよ。
最初のこのグラフは失業率。今までは4%くらいだったのに、いきなり14%を超えていることが分かるね。
(コメント:ちょっと飛びぬけすぎてて、グラフで過去を示している意味があまりない程ですね…)

次のグラフは非農業部門雇用者数の変化に関するグラフだよ。今月2千万人を超えていることが分かるね。
(コメント:こちらも、過去のデータがほぼ0人に見えるほど、桁が違いますね…)

じゃあ、詳細について説明していくね。

米国雇用統計レポート 詳細です

今回の報告は、2つの調査の統計結果からのものだよ。この調査は毎月行われているんだ。

家計調査household survey data:人口統計学的特徴によって、失業を含む労働力の状態を測定する方法だよ。

事業所調査establishment survey data:農業以外の雇用、労働時間、そして業界別の収益を測定しているんだ。

まず、家計調査についての説明を紹介するね♬

 

米国雇用統計レポート:家計調査の詳細です

・4月の失業率は10.3ポイント上昇して14.7%になったよ。これは、1か月で最大の増加だったんだ。(1948年1月以降で)4月の失業者数は1,590万人増加し、2,310万人となったよ。この急激な増加は、コロナウイルスのパンデミックの影響とそれを封じ込める努力が理由なんだ。

 

・4月には、すべての主要な労働者カテゴリーの間で失業率が急激に上昇したんだ。その割合は、成人男性が13.0%、成人女性が15.5%、10代が31.9%、白人が14.2%、黒人が16.7%、アジア人が14.5%、ヒスパニック系が18.9%。 黒人を除くこれらすべてのグループのレートは、記録的な最高値を表していたよ。
(コメント:労働者のカテゴリーに人種があるあたり、アメリカらしいですね。)

 

4月の一時解雇(temporary layoff)を報告した失業者数は約10倍に増加し、1,810万
・永久失業者(permanent job losers)の数は、544,000人増加して200万人になっていたよ。
・4月には、5週間未満で失業した失業者の数は1,070万人増加して1,430万人になり、失業者のほぼ3分の2を占めているんだ。
・5〜14週間の失業者数は520万人増加し、700万人だった。
・長期失業者(27週間以上失業している人のこと)の数は939,000人で、月間で225,000人減少し、失業者の4.1%を占めていたよ。
(コメント:一言で「失業」といっても多くの種類がありますよね。なので、このように期間で分けながら集計されているんです。)

・労働参加率(labor force participation rate)は、月間で2.5ポイント低下して60.2%になり、1973年1月(60.0%)以来の最低となったんだ。家計調査で測定した総雇用は、2,240万人減少して1億3,340万人になっているよ。雇用人口比率は51.3%で、月間で8.7%低下。これは、過去最低のレートで、1か月で最大の減少だったよ。


(コメント:フルタイムとパートタイム、就職活動の状態などについても、このように分けながら集計されています。フルタイムで働きたいのに、景気が悪いからパートタイムで働いている人が増えたりしていなか、見るためですね。そして今回、その方たちが倍増していたことが見えてきています。)

フルタイムで働く人(usually work full time)の数は月間で150万人減少したんだ。

・そして、パートタイムで働く人(usually work part time)の数は740万人も減少している。パートタイムで働く人は、月の雇用減少の3分の1を占めていたよ。


経済的な理由でパートタイムで働いている人の数は、1か月でほぼ倍増して1,090万人になった。この人達は、フルタイムの雇用を求めているんだけど、時間が短縮されちゃったか、フルタイムの仕事を見つけることができなかったので、パートタイムで働いていた人達だよ。


現在就職を希望しているけど仕事をしていない人は990万人とこちらも倍増してしまっていたんだ。この人達は、過去4週間は積極的に仕事を探していなかったか、仕事に就けなかったため、失業者としてはカウントしていないんだ。


就職活動をしていないけど、興味があった人たちは230万人で、1か月で855,000人増加したよ。 この人たちは過去12か月の間に仕事を探していたんだけど、調査の4週間前には仕事を探していなかった人なんだ。


仕事に就くことを諦めちゃっている人達は574,000人で、前月からほとんど変わっていなかったよ。

米国雇用統計レポート:事業所調査の詳細です

・3月に881,000人減少した後、4月の非農業部門雇用者数は2050万人減少しているよ。1か月としての減少幅は過去最大で、2011年1月以降でも雇用は最低水準なんだ。 そして、4月の失業は広範囲に及んでいて、最大の影響はレジャーとホスピタリティだったんだ。

 

(コメント:各業界毎の雇用状況を細かく分けながら説明してくれています。通常は業界毎にでこぼこがあるのですが、今回は全般的に悪化しています。少し細かいのですが、どのような情報が書かれているのかのご紹介も兼ねて、見ていきますね。)

レジャーとホスピタリティでの雇用は770万人、つまり47%も減ってしまったんだ。 減少のほぼ4分の3は、食事をするところと、drinking placeで発生していたよ(-550万人)。また、芸術、エンターテインメント、レクリエーション業界(-130万人)と宿泊業界(-839,000人)の雇用も減少していたんだ。

教育および医療サービスの雇用は250万人減少。 ヘルスケアでは、歯科医のオフィス(-503,000人)、医師のオフィス(-243,000人)、および他の医療従事者のオフィス(-205,000人)によって、雇用は140万人減少していたよ。 そして、社会福祉援助(-651,000人)で減少。これは、託児サービス(-336,000人)、個人および家族サービス(-241,000人)での失業も入っているんだ。 民間教育の雇用は月間で457,000人減少していたよ。

専門サービスおよびビジネスサービスでは、220万人の雇用が失われていたんだ。一時的な支援サービス(-842,000人)や建物や住居へのサービス(-259,000人)で大幅に雇用が失われていたことが分かっているよ。

小売業での雇用は210万人減少。失業は、衣料品などのお店(-740,000人)、自動車および部品のディーラー(-345,000人)、その他の小売店(-264,000人)、家具および家具店(-209,000人)で雇用が失われていたよ。 対照的に、ウェアハウスクラブやスーパーセンターを含む商品店では93,000人の仕事を得た人がいたことが分かっているよ。

製造業の雇用は130万人減少していたよ。 減少の約3分の2は、耐久財製造(-914,000人)で、自動車と部品(-382,000人)と金属加工製品(-109,000人)で雇用が失われたことが見えてきたよ。非耐久財製造業は416,000人が職を失っていたんだ。

その他のサービス産業の雇用は130万人減少、減少の約3分の2が個人およびランドリーサービス(-797,000人)で発生していたよ。

(コメント:その他には、このような分類で詳しく状況を説明してくれています。かなり詳しいですね。そして、日本の状況にも似ていそうなことが分かります。)

・4月の政府雇用は98万人減少していたんだ。 地方自治体の雇用は801,000減少していたけれど、これは一部には学校の閉鎖が反映されていたんだ。 州政府の教育でも多くの雇用が減少していたよ。(176,000人)。

・建設雇用は975,000人減少。専門貿易請負業者も多くの方が職を失ったんだ(-691,000)。 建物建設でも発生しました(-206,000)。

・輸送と倉庫保管も減少していたよ(-584,000人)。 地上の旅客輸送と航空輸送はそれぞれ185,000人と141,000人が職を失っていたよ。

・卸売業は363,000人が雇用を失い、主に耐久財と非耐久財関連での影響だった。

・金融における雇用は月間で262,000人減少し、減少の大部分は不動産/賃貸/リース(-222,000人)で発生していたんだ。

・情報の雇用は、主に映画/サウンドレコーディング業界の減少(-217,000)により、254,000人減少しました。

・鉱業は4月に46,000人の雇用を失い、減少の大部分は鉱業支援活動(-33,000)で発生していたよ。

 

(コメント:ここからは、同じく注目されている給与や労働時間についてです。)

・民間の非農業部門給与の全従業員平均時給は1.34ドル増加して30.01ドルになっていたんだ。4月の民間部門の生産および非監督従業員の平均時給は、1.04ドル増加して25.12ドルになっていたんだ。

・平均時間給の増加は、低賃金労働者の大幅な失業が大きく影響していたことが分かっているよ。 この変更は、収入の増加と、時間あたりの平均賃金見積もりにも増加の影響を与えるものだよ。

・4月のすべての従業員の週平均労働時間は、0.1時間増加して34.2時間だったよ。 製造業では、週労働時間が2.1時間減少して38.3時間になり、残業時間は0.9時間減少して2.1時間。 民間の非農業部門給与の生産および非監督従業員の平均労働週は、0.1時間増加して33.5時間になっていたよ。

 

・5月の雇用状況は、2020年6月5日金曜日の午前8時30分(EDT)に発表される予定だよ。

ちょっと詳細

どうでしたか?無料のレポートですが、大分細かい情報までしっかりと記載されていることがお分かりになったかと思います。 (私のコメントは、( )で入れた箇所くらいです。) 新聞などでは、このような一次情報のほんの一部が要約されているのですが、やっぱり原文を見てみると、ニュアンスなんかも含めて分かるから便利なんです。

 

最後に、もう一段の詳細です。読むのやめないで〜(笑)

今回のレポートにはこんな補足が付けられていました
「コロナウイルス(COVID-19)による2020年4月の事業所調査と家計調査データへの影響」
Coronavirus (COVID-19) Impact on April 2020 Establishment and Household Survey Data

 

これが何かというと、今回の新型コロナウイルスの影響で、調査にも大きな影響が出ていたんですね。なので、その影響に関する補足です。例えば「家計調査は通常、対面および電話による面接を通じて収集されますが、面接担当者および回答者の安全のために個人面接は行われませんでした。 家計調査の回答率は70%で、パンデミック前の数か月よりも約13%低くなりました。」といったものです。

 

個人的に、特にインパクトのある補足はこちらでした。

「雇用されていると記録されているが、「その他の理由」のために欠勤している労働者(通常の4月にその他の理由で欠勤している数を上回っている)が一時解雇で失業者として分類された場合、全体的な失業率はほぼ 報告よりも5ポイント高くなる(季節調整されていないベースで)。 ただし、通常の慣行によれば、家計調査は記録されたものとして受け入れられます。 データの整合性を維持するために、調査の回答を再分類するための特別なアクションは行われません。」

つまり、14.7%という高い失業率が、実はもっと悪かったかもしれないということですね…

おわりに

こんなに長々とした文章にも関わらず、最後まで読んで下さり、本当にありがとうございました。

1つでも「へぇ~」って思って下さることがあると嬉しいです。

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