学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)

そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。

でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。

 

前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
最近話題の「日本政府による現金給付」についてです。

目次


・はじめに

・過去のこと
・現在のこと
・未来のこと

・おわりに

はじめに

新型コロナウイルス、私達の生活にも大きな影響がありますよね。私の次女も今年小学生なのですが、入学式が中止となりました… そして、生活だけでなく経済にも大きな影響があります。経済が悪化して、多くの人が失業するような事態になることを防ぐために必要なことの一つは、日本政府と日本銀行による景気刺激策です。「政府が現金を給付する」とのニュースを耳にしますね。なんで、政府が現金をくれるのか、実はそこにはとても長い歴史があるんです♬ 皆様と一緒にひも解いていきますね。

(将来の娘たちをイメージしながら読みやすさを重視して、ザックリと説明しているので、少し「正確性」は犠牲になってしまっています。お詳しい方は読み飛ばしてくださいね♫)

過去のこと

今まさに「最新の経済政策/景気刺激策がテストされようとしている」状況なんです。ざっくりと過去を振り返っていきますね。頭の片隅に残して頂きたい方は、経済学者のミルトン・フリードマンさんです。

(ここから書く内容は、私が学生時代に学んだことと、最近読んだこちらの本を基に書いています。「ミルトン・フリードマンの日本経済論」著者 柿埜真吾さん。

※娘に向けてお父さんが伝えたいこと:
たくさん学んでみて得た一番の財産は「正しい情報を自分で見つけ、判断することの重要さ」です。ネットを検索すれば、たくさんの情報が存在していますが、全てが正しいわけではないですよね。そして、人は「自分が見たいもの」を探してしまいますし、その情報を信じてしまいがち、とされています。

そのため、常に「この情報は正しいかな?」と思いながら読むことが重要と学びました。絶対ではないのですが、一つの判断基準は、書かれていることの情報源ソースがしっかり紹介されているか、いないか、です。どのような本/論文を基にした内容なのか、それを検証できるように明記されているか、そんなことが必要なんです。 長い長い、娘へのつぶやきでした。では本題に入ります。)

【日本のバブル崩壊に関する学び】
日本は過去経済が絶好調で、日本こそが世界一の経済大国になるなんて言われていたこともありました。でもそれは幻想/バブルにすぎず、そのバブルは崩壊してしまいました。

様々な人が日本のバブル崩壊について語っているのですが、少し違う視点で語っていた方がミルトン・フリードマンさんです。彼は日本のバブルについて、このようなことを語っていました。

・日本経済は強い。
・バブル崩壊後の日本経済の低迷は、デフレ的な金融政策によるものだ
・日本経済が回復するためには、緊縮的金融政策から金融緩和に切り替えることだ

ちょっと専門用語が多く出てきて分かりにくいですね。ざっくりと言うと「モノの値段が下がるような世の中にならないように(デフレにならないように)、世の中のお金を多くしよう(金融緩和が必要)」と言っていました。

まだ少し分かりにくいですよね。なぜ「モノの値段が下がるような世の中だとよくない」のでしょうか?自分たちに置き換えるとと、少し分かりやすくなります。例えば今目の前に1万円のバッグがあるとしますね。もし半年後に買うと9,000円になると聞いたら、どうしますか?おそらく「買うのは少し後でいいかな」となる方もいると思います。

このことをお店側からみると「本当は買ってくれるはずの人が、買ってくれなかった」となります。そうなると、「お金が入らないから、アルバイトの方を減らそうかな」なんて思う人もいますね。そうすると、今度はアルバイトでお金を稼げていたはずの人が、お金をもらえなくなります。

こんなことがどんどん続いて、経済が悪くなってしまうんですね。なので、ミルトン・フリードマンさんは、それを防ごうと言っていました。(ちょっと単純化していますが、ご了承くださいね。)

 

2000年代半ばに日本経済は一時的に回復したのですが、この考えの正しさを裏付けるものとされています。

その後に、有名な「リーマンショック」が発生します。

【リーマンショックに対するアメリカの対応】
上のようなバブル崩壊について、しっかりと学んでいた国があります。それは「アメリカ合衆国」です。アメリカはリーマンショックが発生した時に、中央銀行であるFRB (The Federal Reserve Board/連邦準備理事会)が大胆な金融政策/量的緩和によって物価を安定させ、デフレになることを防ぎ、不景気を見事に回避させたんです。

リーマンショックとは複雑な債権を原因とする金融的な危機でした。なので、マイナス金利に代表されるように各国で金融政策が発展していきました。一方で、リーマンショックで効果があった対策のみでは、金融面ではなくて需要面からの危機が起こったら、その効果は不十分であるといった考えも出ていました。 「需要面での危機」というのは、ざっくりとは「人々が必要と考えること、例えば家がほしい、車がほしい、といった思いが急に減ってしまい、ものやサービスが売れないこと」です。金融面での対策、つまり「たくさんお金を借りられますよ」なんて言われても、家や車自体をまだ必要としていなければ、特に買いはしないですよね。

そんな状態になってしまった時に、政府や中央銀行はどうすればよいか?ということを多くの人が研究していました。その研究内容の一つに、先程のミルトン・フリードマンさんが提唱したとされる対策に「ヘリコプター・マネー」という政策が出てきます。

ヘリコプター・マネーって何?
様々な解釈/定義がある言葉なのですが、政府や中央銀行が実際のお金を人々や企業に配り、市場のお金(貨幣)を増やしつつ、需要も高める対応です。お金をもらえれば、今必要なものや、将来買いたいなと思っていたものを買う人もいますよね。
ヘリコプターからお金をばらまいて、それを受け取った人が様々なモノを買うことで、経済が良くなっていく、というようなイメージの政策なんです。

 

そんな研究がなされている中、今回の新型コロナウイルスによるショックが発生しました。

現在のこと

【新型コロナウイルスによる危機について】
新聞の見出しなどでは「リーマンショック級の危機」といったような報道がありますが、実はこの2つの危機は少し異なるんです。

リーマンショックはお金が借りられないといったような金融起点の危機でしたが、今回は新型コロナを広めないために人々が移動しなくなってしまうという「需要」が原因となる危機です。
(ちょっと細かく:それを裏付けているのは、米国のFRBが3/18にサプライズで1.0%の緊急利下げを行い、米国の政策金利であるFFレートを0-0.25%に下げる、普通ならば0.25%ずつ利下げしてもいい中で一気にゼロ金利政策にしたという異例な対応をしたにも関わらず、あまり効果がなかったことが挙げられます。)

金融面だけでは政策の効果があまりないことが改めて分かりました。この時にアメリカが何を行ったのか?それが「現金給付を含む景気刺激策」です。今までの経緯を知っていると、実は順当な経済政策ですね。
(またまた、ちょっと細かく:3/27にアメリカが「Coronavirus Aid. Relief, and Economic Security Act」という法案を成立させました。2.2兆ドル(200兆円を超えています!)もの対策で、家計支援5,000ドル(50兆円を超えている…すごすぎますね)が含まれていて、そこに速やかな現金支給が含まれているんです。その目的はもちろんコロナ収束後の経済復活です。)

 

そして今、日本で「現金給付」が報道されています。けっこう寄り道しましたが、ようやく繋がりました☆ 生活を助けてくれるためのお金ですが、それと同じくらい大きな目的として、経済を復活させるための対応だったんです。

そこで気になるのは「経済がどのくらいよくなりそうか?」ですね。最後に少し触れてみたいと思います。

未来のこと

ここからは少しだけ未来のことを書いてみます。

・「現金給付」という対応が経済をよくするか?
短期的には、それに期待しすぎることは難しそうです。

イギリスで有名なThe Economistといった雑誌を見る限り、新型コロナウイルスを「消滅」させるようなことは難しく、医療機関がパンクしてしまわない範囲でコロナを薄く拡散させていき、少し厳しいインフルエンザのような状態にもっていくことが、一つの「収束」の姿のようです。ここから見えるのは、新型コロナウイルスの影響はまだもう少し長引くということです。

そうなると、仮にすぐに現金を給付してもらっても、今まで既にお金を払う予定であった生活必需品にお金を使うことになり、本格的にお金を使う量を増やすのはコロナが収束してからとなりそうです。つまり肝心な「需要」が増えるのは、もう少し先となりそうですね。

(もちろん、生活に困っている人を助けるという意味はありますが、経済対策として期待しすぎるのはできなさそうで、これからの経済関連データを注意してみていく必要がありそうです。)

 

では中長期的にはどうなりそうか?
アメリカの失業保険申請者数が600万人を超えていたり ( https://www.dol.gov/sites/dolgov/files/OPA/newsreleases/ui-claims/20200551.pdf ) 、他にもあらゆるデータが刺激的な数値を叩き出していますが、それらに過剰に反応したり、根拠のない憶測やパニックに流されたりしないことが重要であるように感じています。

もし自分の娘がもっと大きかったら「世の中の報道が一方向に偏っていたら、違う側面を見るようにしてみてね」と伝えたいと考えています。

最後としてはインパクトに欠けますが「今は中長期でどうなるか、正直なところ誰も断定できない」という状況だと思います。新型コロナがどう収束するか、今までにない大型の景気対策が効果を発揮するか、大型景気対策によって各国が抱える負債がどう世界経済に影響するか、今平行して発生している原油価格がどう落ち着くのか、などなど不安定で断定できない要素が多いため、じっくりと各種データを自分で見ながら、考えていくことが必要そうです。

3. おわりに

最後の尻切れトンボ感、すみません(笑)

一番最初に挙げた「なんで政府は現金を給付するの?」ということについて、歴史や背景、それを基にした将来の想定など、何か一つでも「へぇ~」と感じて下さったり「ちょっと面白かった」なんて思って下さったら嬉しいです。

とても、とても長い文章にも関わらず、最後までお読み下さり、大変ありがとうございました。

こんな感じで、お父さん、がんばっていきたいと思います(笑)

 

(2020/4/6 現在パートの最後、少し追記しました)

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