学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)

そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。

でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。

 

前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
「Twitterが『赤字』?」についてです。

目次

 

・はじめに (ちょっとしたクイズも)

・Twitterの最新決算

-実は赤字でもしっかり「成長」している

Facebook/Googleとの差

-おまけ① なぜ利益が減ったのか?

-おまけ② 日本市場について

・おわりに

はじめに

最初にちょっとしたクイズです。
下のグラフはTwitter、Facebook、Googleの親会社Alphabetの売上と利益です。
どれがTwitterのものでしょうか?

では、今回のテーマ「Twitter」について書いていきますね。(クイズの答えももちろんこの中にあります☆ なんかテストみたいですみません(笑))

 

・Twitterって何者?
私達が普段使っているTwitterはアメリカのサンフランシスコに本社がある「Twitter, Inc.」が運営しています。この会社、実はけっこう新しい会社なんです。

 

少し沿革をご紹介しますね。「ブログ」が世界で流行するきっかけとなったアプリBloggerを作成したエヴァン・ウィリアムズ(Evan Williams)さんが、Obvious Corp.という会社を作りました。その会社のプロジェクトの一つがTwitterだったとされています。2006年にサービスが始まり2008年には日本語版も開始されました。そして、2013年にTwitter, Inc.はニューヨーク証券取引所に上場しています。上場されると、経営状況等をしっかりと公開する義務が生じるので、四半期毎に会社の状況に関する説明会が開催され、資料も公開されるため、「しっかり利益を出しているのかな?」「成長しているのかな?」といったことが分かりやすくなります。

 

・最新決算
米国時間の2020/4/30に、2020年度の第1四半期決算が発表されました。2020/1/1~2020/3/31までの成績表だと思って下さい。それを見ると、実はこの3か月、「赤字」つまり利益が出ていなかったことが分かりました。でも、危機的な状況というわけでもなく、将来の成長にむけて「投資」しているんです。今回はそのあたりをのんびりと紹介させて下さい。

(なるべく専門用語は使用せずに書いていきますね。お詳しい方はサラッと眺めて下さい(笑))

Twitter社の2020年第1四半期決算

・しっかり「成長」している
Twitterが重視している数字として、「収益化可能なデイリーアクティブユーザ:mDAU  monetizable daily active usage)」という見方があります。これは広告を目にしたユーザー数のことで、この数字が増えれば、将来しっかりとお金を稼ぐことができますね。このデータは、こちらのように投資家に対して公開しています。
(今回の記事での情報/画像元はTwitterの投資家向け情報/公開情報です。プレスリリース 、四半期決算情報 、株主へのレター )

これら情報によれば、2020/3/31時点でのmDAUは1億6600万人となり、1年間で24%・3200万人も増加しています。株主へのレターを見ると、その要因の一つは「新型コロナウイルス」に関する会話が大幅に増えたこともあるそうです。確かに、私達もけっこうつぶやいたり、つぶやきを見たりしましたね(笑)

 

そうなると、売上の大部分を占めている広告費もしっかりと増えていそうです… ただ、実はここに今回の赤字の理由がありました。

・売上の伸びは3%(冒頭のクイズの答えもこちら♫)
ユーザー数が激増していますが、昨年からの売上の伸びは3%、8億800万ドルでした。3か月で約800億円強のお金を得たことになります

ちなみに、似たように広告が収入源の有名な企業にGoogle(企業名はalphabetです)とFacebookがありますが、このような規模です。(冒頭のクイズの答えはこちらです♬一番売上が小さい企業がTwitterでした。GoogleとFacebookってやはり大きいんですね。

-Alphabet の2020/1/1~3/31決算
売上Revenuesは412億ドル、営業利益Operationg incomeは80億ドル

-Facebookの2020/1/1~3/31決算
売上Revenuesは177億ドル、営業利益Operationg incomeは59億ドル

Twitterはこれら2社と比べると、まだ少なく見えますね。

 

 

収益をもたらすユーザー数が24%も伸びたのに、売上が3%しか伸びていないのはなぜか?

今度は「利益」に注目していきますね。(少し正確ではないのですが、イメージとしては、「売上」はお客さんから得たお金の総額、「利益」はそこからコストを引いたものと思って下さい。)

 

売上が伸びなかった主な理由は、多くの企業が頭を抱えている「新型コロナウイルス」による影響でした。多くの事業者が経営的に厳しくなり、Twitterへの広告料を減らしていた実態が見えてきました。今期の広告収入は約6億8200万ドルで、昨年からの増加はわずか約300万ドルだけでした。株主へのレターによると、1月から3月上旬は順調であったものの、パンデミックによって世界各国が避難を本格化させた3/11~3/31には、昨年より約27%も広告からの収入が減少してしまったそうです。

 

各種コストを抑える努力を行ったものの、その広告収入減少には対応しきれず、約700万ドル・約10億円弱の営業損失が発生しています。(昨年の同じ時期の営業利益は約9400万ドル・約100億円弱、売上比で12%の利益を出していたので、新型コロナの影響がとても大きかったことが分かりますね。)

おまけ (ちょっぴり詳細)

・利益でみるTwitter / Alphabet / Facebook
ちなみに、先ほどAlphabetとFacebookとの売上差をお見せしましたが、利益(営業利益)はこんな感じです。AlphabetとFacebookのすごさが際立っていますね。このコロナで大変な3か月でも、5000億円以上の利益を出しています。

(逆に見れば、Twitterにはそれだけ成長する可能性があるとも見れますね。いかにしてよりよいサービスにするかが重要となります。そのためには「投資」が必要となりますね。 ⇒次の項目でちょっと触れてみます♪)

おまけ① なぜ利益が減ったのか?

上の説明は実は少し足りてないですね。もう一段細かくなりますが、お時間あれば読んでみて下さると嬉しいです。

広告収入はなんとか維持されていたため、実はコストが増えたことから、利益を出せず「赤字」となってします。但し、そこには戦略がありました。最後に少しご紹介しますね。

 

2020年は人員を毎年20%以上増やす計画で始まっていました。まさに成長企業/いけいけドンドンです。そこに新型コロナが発生しました。経費削減などは行い一部採用抑制もあるようですが、それでもしっかりと増やす、言い換えると長期的な成長に向けて投資をしていくという姿勢を改めて示しています。その姿勢は数字にも現れていて、今期の費用は18%増加の約8億1500万ドル・800億円強もかけています。

お金をかけているのはどこ? それは研究開発費でした

費用の中で増加が目立つのは研究開発費(Research and development)です。昨年より37%増加して、3か月で約2億ドル・200億円強の費用をかけて開発を進めています

プライバシーへの対応や、誤った情報への対応といったことから、使い勝手の進化など、対応すべきことがたくさんあり、それらの開発に多額の費用をかけているようです。

株主へのレターには、「トピック」機能としてはフォローできるトピックの数を6言語で2,200に増やしたり、リスト探索機能も進化させているそうです。

そして、新しい機能として、24時間後にメッセージが非表示となる「フリート」といった新機能の実験をブラジルで行っていることも紹介されていました。

 

これからの進化が楽しみですね♬

おまけ② 日本の位置づけ

売上高は1億3100万ドルで、米国に次ぐ2番目の市場なんです。たくさんの人がTwitterしてますもんね。そして、たくさんの広告を見かけます(ちなみに米国の売上高は4億6800万ドルと3倍以上あります。)

 

新型コロナで大変な今、日本でも多くの方がTwitterを使っています。デマも見かけますが、専門家の方も情報発信に使用しているといったニュースも見かけました。

ここまで早く、そして広く意見が広がる世界、少し前までは想像できなかったです。私達って、やはり「未来」に住んでいるんですね♬
(感慨深いなぁ…って、完全におじさん発言ですね(笑) こども達が大人になる頃は、どんな世界なのかなぁ?)

 

おわりに

今回もたくさん脱線してきましたが、少しでも楽しんで下さっていたら嬉しいです。

読んで下さり、ありがとうございました。

・宣伝です

今回「売上」や「利益」といった言葉を使いましたが、少し分かりにかったですよね(^^; 以前、iPhone等で大人気の「Apple」を題材に、少し売上/利益について書いたことがあります。もしよければこちらもさらっと見て下さると嬉しいです♬

Apple Inc. のすごさ : お父さんから娘への経済教室#10

同じカテゴリの記事はこちら

経済 や 会計 って実はとっても面白いんです♪: お父さんから娘への経済教室#32

経済 や 会計 って実はとっても面白いんです♪: お父さんから娘への経済教室#32

今回は、経済 や 会計 や ファイナンスなどの歴史を紐解きながら、実は会計やファイナンスにはイノベーションやストーリーがあることをご紹介します。(娘たちが「なんだか小説みたいで面白いかも♪」と感じてもらうための内容です。)

IMF の最新レポート 〜これからの世界経済はどうなる?〜 : お父さんから娘への経済教室#31

IMF の最新レポート 〜これからの世界経済はどうなる?〜 : お父さんから娘への経済教室#31

新聞などで「 IMF によると世界経済は来年○%拡大すると予想されているが、…」といった説明をよく目にしますよね。この数字、IMFが定期的に発行しているかなり細かなレポートの一部なんです。3つの代表的なレポートの最新内容を皆様と一緒にのんびりと見ていくこととさせて下さい。

FOMC 最新経済/政策金利見通し 〜専門家の意見が割れている?〜 : お父さんから娘への経済教室#30

FOMC 最新経済/政策金利見通し 〜専門家の意見が割れている?〜 : お父さんから娘への経済教室#30

9月21−22日 FOMC の見どころの一つとして24年までの政策金利、経済・物価見通しの更新がありました。テーパリング(量的緩和の縮小)は近々行われることが想定されていますが、利上げがいつとなるか世界中のアナリストの皆様が気にしていて、そのヒントとなる情報が今回の見通し更新です。