学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)

そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。

でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。

 

前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
ファンドが個人投資家に『負けた』?」についてです。

目次


はじめに:ざっくりと、ゆる〜く説明

ちょっと詳しく

GameStopってどんな会社なの?

そもそも「空売り」って何?

おわりに

はじめに

今回の騒動はとても大きくなり、新聞一面にも載りましたし、いろいろな方が説明して下さっています。

どの説明もとても興味深いのですが、少し専門的ですよね。

今回はこちらについて、少しゆる~く解説させてください (^^) 楽しんでくださると嬉しいです。

ざっくりと、ゆる〜く解説♬

まずはじめに、今回のニュースをざっくりとご紹介します。(専門用語をなるべく使用しないでみますね♬)

 

 

・GameStopという、ゲーム機やソフトを売るアメリカの会社について、ファンド(お金を預かり、運用して増やす方々)が着目し、

 

おや、この会社はそこまで調子が良いわけではないから、株価はちょっと高すぎるかな。将来この会社の株価が下がる方に投資しておこう

 

と考えました。

 

・個人で投資をしている人たちが、WEB上の掲示板に

経営者に新しい人が加わるし、この企業、将来よくなるかもよ。

ファンドの奴らをぎゃふんと言わせちゃおうよ。みんなで買って、株価が上がれば、あいつら大損するぜ!

 

といった内容を書きながら、みんなで一斉に買い、株価がドンドン上がって行きました。(少し正確にはコールオプションの買いを入れて株価を上げていました。下の画像のように、元々約20ドルほどだった株価が、短期間で400ドル近くになりました(!) 画像出典元、iPhone株価アプリ 2021/1/31時点)

 

WiFiルータ Softbank E5383

・ファンドの人達は「空売り(short selling)」という手法で将来株価が下がることに投資していたため、想定以上に株価が上がってしまい、大きな損失をかかえました。

 

 

ちょっとはしょってしまっていますが、大まかな流れはこのような感じです。

(今回の騒動を仕掛けた方、仕掛けられた方に着目した記事もありますので、ご興味あれば見てみてくださいね。)

ざっくりとは上記の通りですが、「そもそもGameStopってどんな会社なの?」「空売りって何?」ということが分かると、このニュースがもう一歩『面白く』なります。

この後は、少し細かくなるのですが、サラッと眺めてくださると嬉しいです。

ゲームストップって、どんな会社?

 

日本にいると、そもそも「 ゲームストップ / GameStop 」という会社のことはあまり聞かないですよね。どのような会社なのか、そして、どのような経営状況なのか、ご紹介します(^^)

 

 

会社の概要や経営状況を調べる時は、まずは公式サイトの会社紹介ページや投資家向けページ、FacebookやTwitterの公式アカウントを見るのが便利です。では、実際にゲームストップを見ていきますね♫

参考:公式サイトhttps://news.gamestop.com/home

ゲームストップ、マリオと共にゲーム業界を歩んできた企業のようです (^^)

テキサス州グレイプバインに本社を置くフォーチュン500企業です。「フォーチュン500企業」はアメリカの一流企業集団です。

 

デジタルにも力を入れているオムニチャネル小売業者で、5,000を超える店舗を有し、ゲームとエンターテインメント製品を提供しています。

 

紀元は1984年にテキサス州ダラスに設立された、小さなソフトウェアの小売店でした。その後、任天堂のスーパーマリオなどのTVゲームを扱いながら、徐々に成長していった企業です。公式Twitterでは、マリオへの愛にあふれるつぶやきがありました (^^)

 

ゲームストップの経営状況は?

最近のゲームって、けっこうオンラインが多いですよね。ゲームストップはデジタルに力を入れていますが、まだ「街のゲーム屋さん」である面もあります。今は経営状況は決して「いい」と言える状況ではなく、まさに変革中の企業です。

 

こちらは、20年Q3の決算資料ですが、3四半期の売上が昨年の$4,271Mから今年は$2,967Mまで落ち込んでいます。そして、営業赤字となっており、純損失です。ただ、その赤字幅は昨年よりも減っていますね。(画像出典元:GameStop IR資料)

https://news.gamestop.com/news-releases/news-release-details/gamestop-reports-third-quarter-results-positive-start-fourth

WiFiルータ Softbank E5383

この状況を打破すべく、変革に取り組んでいます。決算説明の資料も下のように、変革に向けた話一色でした。会社としての危機感や決意を感じます。

 

・2019年以降、約800店舗を閉店した。

・販売や管理にかかる費用(SG&A)を2019年中旬から$440M以上削減した。

デジタル関連(eCommerce)の売上を400%増やし売上の中で約25%を占めるようになった(会計年度来)

 

https://news.gamestop.com/static-files/ba37d1f0-c350-4dbb-b91a-4f58de46b95a

コラム:今の株価って妥当?

じゃあ、今の株価も妥当なの?

 

よりデジタルにシフトすべく変革中ですが、将来の利益がどの程度になりそうかは強気と弱気いくつか意見がありそうな決算です。そして、本来はその将来の利益を元に、株価が決まっていきます。

 

今の株価は割高だし、将来の利益もそこまで期待できないから、将来株価は下がるだろう」と考える方がいてもおかしくはありません。そして、今回はファンドの方がそう考えていて、「空売り」によって将来株価が下がる方に投資したところ、想定以上に株価が上がり大きな損失を被ってしまうこととなりました。

 

 

(完全に個人的な考えですが、今の株価は「やっぱり、ちょっと高すぎるなぁ…」って感じてしまいます。いくつか便利な指標があるのですが、代表的なものだけで軽く見てみますね。お詳しい方、飛ばして下さい 笑

 

・PER

まず「一株あたりどのくらい利益を出しているのかな?」という指標の「PER(Price Earnings Ratio / 株価収益率:1株当たりの当期純利益)」では、そもそも今は赤字状態で、利益が出ていないので、計算できません…

 

そんな時には他の指標も見てみます。

・PBR

「今の株価と、企業が保有している資産を比べると?(例えば、会社を全部売り払った場合に残るお金は1株あたりいくらになるの?)」代表的な指標としては「PBR (Price Book-value Ratio / 株価純資産倍率)」がありますが、こちらもなかなかの値となっていました。

 

 

ここから、すごく細かくなって行きます、ご興味ある方のみどうぞ(笑)

 

 

GameStopの最新四半期を見ると、純資産が約$332M (下資料の株主資本箇所)、発行済株式が約65Mなので、「1株あたりの純資産」(BPS:Book Value Per Share) が約$5※です。

 

GameStopのBPS : 仮に、この会社を無くして、抱えていた借金を返済して、残った資産を売却した時には、1株あたり$5もらえる、という意味合いです。(厳密にはここまで単純ではないのですが、計算上はそうなります。)

WiFiルータ Softbank E5383

一方の株価は1/31時点で$300を超える水準なので、資産からのみ考えた1株あたりの価値$5よりも株価は60倍以上となっています。

アメリカで有名な小売業であるウォルマート・ストアズだと、一株あたりのBook valueが約$30、株価は約$140で、PBRは約5倍なので、GameStopの60倍以上はなかなかの大きさですね。

 

少し業界が異なる米国企業もちょっとみてみますね。製造業のP&Gは約6.5、ジョンソンアンドジョンソンも約6.5倍といった水準です。工場を持たない効率的な経営を行っているAppleは約33倍と高めですが、多くの投資家が将来もっと利益を稼ぎ、還元してくれる・株価が上がると考えていることがわかります。アマゾンは約20倍、最近よく聞くテスラが約45倍です。

 

借金を増やして純資産を減らせば、PBRは大きくなって行きますので、単純比較は難しいのですが、約60倍という数字は結構目立ちます。

 

他にも、時価総額を売上で割った Price/Sales (ttm)や、Enterprise Value / EBITDAなど、いくつか指標があるのですが、赤字の状態だとなかなか将来想定が難しく、ここまでの株価急上昇の説明が難しい状況です。

 

今の過熱状況を見ると、もう少し上がったりするのかもしれませんが、落ち着くところに落ち着くような気がするんだけどなぁ… あ、もちろん、投資は自己判断・自己責任でお願いしますね(笑)

 

 

次に、「そもそも空売りって何?」「なんで損失が発生するの?」という点に少し触れて、終えたいと思います。

「空売り」って何?

ここは「空売り」という言葉を聞いたことが無い方(私の子供達のような方)が、少しイメージできるようになって頂くことを目指して買いてみますね。お詳しい方は、こちらも飛ばしてくださいね。

 

 

・空売りって何?

「空売り」とは、その名の通り「株式を持ってなくても、『空/から』で株式を売る」ということです。空で売るなんてどうするのか?それは、株式を持って無いので借りて、それを売り、期日になってから買い戻して返すんです。

 

これから、この会社の株価が下がるぞ。なので、株を借りて、それを売って、あとで下がった株価で買い戻して返せば、その差額で儲けられるぞ」ということができます。

 

 

・なんで損するの?

株価が逆に上がると、上がった価格で買い戻して、返さなくてはならないからです。ここで少し怖いのは、株価の下限は0円/無価値ですが、上限は無いことなんです。理不尽に上がってしまった時には、その理不尽に上がった価格でしっかりと買い戻さなくてはなりません。(信用取引、空売りが怖いとされている点でもありますね。)

 

今回のGameStopも短期間でものすごく株価が上がりました。そうなると、空売りしていた人たちは、その上がった価格で買い戻さなくちゃならないので、莫大な費用がかかってしまうんです。

おわりに

経済ニュースなどはあまり見ないよ、という方が「あ、なるほど」とか「ちょっと面白いかも」なんて感じてくださっていたら嬉しいです。

 

 (GameStopの株価は2/2時点で結構大きく下がっているようです。これからまだまだ上下するのかもしれないですが、最後には経営状況に合わせたところに落ち着くんだろうなぁ、なんて思っています。あ、もちろん投資は自己判断でお願いしますね♬)

 

今回もありがとうございました (^^)

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