学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)
そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。
でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。
前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
「ディズニーランド がアメリカのディズニーに支払っているライセンス料/ロイヤルティ」についてです。
目次
1. はじめに
2. まずは結論:ライセンス料について
3. いろいろな情報が載っている「有価証券報告書」と「財務諸表」のご紹介
・どのくらい稼いでいるの?
・お土産と食べ物の大切さ
・従業員の人数やお給料について
・ディズニーランドとディズニーシーの「お値段」
・ディズニーとの契約状況
・これからの新しいライドやホテル
・ディズニーランドって誰のもの?
・最後にもう一度、ライセンス料について
4.おわりに ・ コロナの影響ってどうなるの?
はじめに
東京ディズニーランドとディズニーシーは 株式会社オリエンタルランド という会社が運営しています。そして、その会社は多くの方から投資を受けるために、会社がどのくらいお金を稼ぐことができているのか、コストはいくらなのか、といった情報をしっかりと公開しています。
今回は、その資料に書かれていることを、将来の娘たちが興味を持ってくれるような内容を選びながら、なるべく専門用語を使わずに紹介してみたいと思います。雑誌のコラムを読むような感覚で、サラッと眺めてみて頂けると嬉しいです。
(少しややこしく書くと、株式会社オリエンタルランドは上場されているので、有価証券報告書を見ていきます。令和元年6月27日に公開された、平成30年4月から平成31年3月までの決算内容です。)
これからご紹介する情報/画像はEDINET提出書類より抜粋しています。
2.まずは結論:ライセンス料について
平成30年度のロイヤルティーとして310億円計上されていました。支払先といった情報はないため、ディズニー以外の会社にも支払っている金額がある可能性はありますが、やはり大部分はディズニーへの支払いと考えてよさそうですね。
ちなみに、エンターテイメント・ショー制作費は79億円でした。あれ程素晴らしいエンターテイメント全てにかかる費用よりも、ロイヤルティーの方が約4倍もおおきな出費。やはりディズニーブランドの価値は大変大きいことがわかりますね。
有価証券報告書には、実は他にもいろいろと興味深い情報が載っています。のんびりお付き合い下さると嬉しいです☆
3.いろいろな情報が載っている「有価証券報告書」と「財務諸表」のご紹介
・どのくらい稼いでいるの?
ディズニーランドとディズニーシーがいくら稼いでいるのか、少し気になりますよね。
もちろん、しっかりと書いてあります。お客様から頂くお金は1年間で約5,300億円です。そして、先ほどご紹介したロイヤルティや、テーマパークの運営費用などを除いた「利益」は約1,300億円です。しっかりと利益を得ることができているので、新しいライドやホテルを作ることができています♬
(ちょっと細かく:売上が525,622百万円、経常利益が129,439百万円です。)
・お土産と食べ物の大切さ
上でご紹介した約5,300億円の内訳もしっかりと書かれています。
テーマパークは約4,400億円、ホテルで約700億円、他にはイクスピアリ等からのお金となっています。やはりテーマパークが大きいですね。
では、そのテーマパークはどのような内訳になっているのでしょうか。アトラクション・ショー収入が約2,000億円、商品販売収入が約1,500億円、飲食販売収入が約760億円です。ショー収入はもちろん大きいのですが、商品/飲食での売上がしっかりと大きいのが分かります。
たしかに、ディズニーランドに行くとお財布の紐がゆるみ、たくさんお土産買ってしまいますし、ポップコーンやアイスやチュロスも買いますね。普段は300円のアイスとかは買わないのに、ディズニーの中だと安く感じてしまいます(^^;
・従業員の人数やお給料について
テーマパークは正社員の方が約3,900人、ホテルは約1,900人です。臨時雇用の方は約19,000人以上いらっしゃるようです。キャストさんのアルバイト、大人気ですもんね☆
ちょっと気になるお給料も、こんな感じで記載されています。平均年齢は41.3歳で平均給与は約700万円。
・ディズニーランドとディズニーシーの「お値段/価値」
ちょっとマニアックになってきますが、有価証券報告書には、その会社が持っている財産も記載されているんです。そして「設備」としてテーマパークの値段も書かれています。東京ディズニーランドとディズニーランドホテルは、建物が約800億円、土地が約200億円、他を合わせて合計で約1,200億円と記載されています。ディズニーシーも書かれていて、建物/土地/他の合計で約1,700億円です。
(こちらは「帳簿価格」という書類上の価格なので、実際の価値はもっと高いと考えられます。あんなに楽しい場所ですからね♬)
・ディズニーとの契約状況
投資をする皆様は、会社の運営がしっかりと継続されるかを気にするので「経営上の重要な契約等」は有価証券報告書で公表しなくてはならない項目となっています。
そして、ディズニーランドの場合はもちろん、アメリカのディズニー本社とのライセンス契約について書かれています。そこには「最長で令和33年9月3日まで」しっかりと契約が続くことが記載されています。そして、5年間ずつ、5回にわたり延長できることも書かれています。
私達の子供世代だけでなく、孫世代も楽しめるような長い契約ですね。
孫と行くディズニーランドって、ちょっと夢です♬
・将来の新しいライドやホテル
最近ディズニーシーに新しいライドの「ソアリン:ファンタスティック・フライト」がオープンしましたね。これから、どんな新しいライドやエリアが生まれるのでしょうか?
実はそのヒントもこちらの書類に書かれています。なぜなら、どのような新しい取組を行っているかどうかは、将来の利益の想定に繋がる、重要な投資判断材料だからですね。
以前少しご紹介した通り、東京ディズニーランドの大規模開発が進んでいます。本当は今年の4月にオープンするはずだったのですが、コロナの影響で延期してしまっていますね…我が家でもゴールデンウィークか夏休み前に行こうと考えていたので残念です(涙)
他には今後、東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクト(総額2,500億円の投資)と、トイ・ストーリーシリーズをテーマとする新ディズニーホテル(総額315億円の投資)が予定されています。楽しみですね☆
(以前ご紹介した入場料の値上がりは、このような投資への対応という面もありそうですね。)
・ディズニーランドって誰のもの?
最初にご紹介した通り、ディズニーランドは株式会社オリエンタルランドという会社が運営しています。
では、そのオリエンタルランドって、誰のものなのでしょうか?それも、この資料にのっています。
オリエンタルランドの大株主は、ダントツで京成電鉄株式会社(22.06%保有)です。次は三井不動産株式会社(9.34%)、三番目は千葉県(4.01%)なんです。代表取締役会長兼CEOは加賀見さんという方ですが、元々は京成電鉄株式会社に入社されている方です。
東京ディズニーランドが生まれるところには、しっかりとドラマがありました。会社設立に向けて、川崎千春 京成電鉄社長、江戸英雄 三井不動産社長によって「オリエンタルランド設立計画趣意書」がまとめられ、それが今のディズニーリゾートになっています。京成電鉄と三井不動産が大株主なのは、その両社が始めたプロジェクトだったからですね♬
ご興味あればオリエンタルランドのホームページに詳しい経緯が紹介されています。
・最後にもう一度、ライセンス料について
長く長く脱線してきました。最後にロイヤルティ/ライセンス料に戻りますね。
こんな感じで、お金を稼ぐためにかかった費用が一覧で掲載されています。その中にロイヤルティも入っていたんです。(この資料の下から5行目です)
約300億円のロイヤルティは高額に感じられますが、そのロイヤルティによってディズニーブランドを活用することができることで、あの夢の国が運営されていて、売上は約5,300億円、利益も約1,300億円得ることもできています。決して「高すぎる」金額ではないですね。
4.おわりに ・ コロナの影響ってどうなるの?
このように、有価証券報告書・財務諸表は一見難しく、とっつきにくいものに見えてしまうのですが、実はその中身ってけっこう面白い内容もあるんです。私の娘たち、そして皆様が、少しでも商学に興味をもって下さったら嬉しいなぁ、なんて思っています。
ここまで読んで下さり、本当にありがとうございます。
長かったですよね、すみません(笑) 一つでも「へぇ~」って思える点がありましたら幸いです☆
・最後に少しだけコロナの影響に触れますね。
今回の資料はちょうど一年前のもので、今年の資料は6月頃に発行されると思います。
昨年との最大の違い、それはやはりコロナ影響です。プレスリリースにあった通り、臨時休園期間も当初の4/20までから5月中旬に判断することとなりました。そして、業績への影響も現時点では未定となっています。
春休みという本来ならたくさんの方が来園する重要な期間が全て休園だったので、その影響が一定程度ありそうに感じてしまいます。(あくまでも個人的な感覚です。)
ここからは完全に個人的な感想ですが、確かに業績への影響は大きいと思いますが、このコロナ騒動が始まった初期の段階で、しっかりと休園にしてくれたことは、多くの方の命を救う決断だったように感じています。そのような判断力も含めて、やっぱりディズニーランドってすごいと感じています。
改めて、お読み下さりありがとうございました。
(2020.4.12少し追記しました。)
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