学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)
そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。
でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。
前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
「会計って意外に面白い 」についてです。
目次
・はじめに
・会計やファイナンスの歴史
なんだか退屈なタイトル(笑)
でも、実はとてもイノベーティブ、そして面白いストーリーがあるんです
・おわりに
はじめに
子供たちが将来の進路を考える時がきたら、少し話そうと考えていることがあります。それは「退屈と一瞬感じるようなことでも、見方を変えるだけで面白い世界が広がっている」ということ。そして、お父さんが少し携わってきた、経済や会計や企業分析といった退屈そうな世界にも、実はとても面白いストーリーが隠れていることを、ちょっとした例を交えながら伝えてみたいと思っています。
今回は、会計やファイナンスなどの歴史を紐解きながら、世界史で習ったルネサンスや大航海時代を会計やファイナンスが実は支えていたことなどをご紹介します。(娘たちが「なんだか小説みたいで意外に面白いかも♪」と感じてもらうための内容です。)
それでは始めていきますね。
会計やファイナンスの歴史
(通常は「根拠」や「確らしさ」を入れながら書いていかなくてはなのですが、そうなると固くてつまらなくなってしまいます笑。なので、ここでは一つの家での親父さんの戯言として、そのような内容は少し置いて、解釈なども含めながらゆる〜く書いていきますね)
今回はこんな感じで書いていきます。
・ルネサンスはなぜイタリアからはじまったの?
イタリアから始まった「複式簿記」がルネサンスを加速!
・大航海時代を牽引したイギリスの大発明とは?
「会社」という制度の発明によって、大航海時代の幕が開けた!
・鉄道事業が一気に普及した理由とは?
「減価償却」というイノベーションによって、鉄道事業や重厚長大事業が進化!
・その後も、色々な発明がなされています
「ファイナンス」「ETF」「ブロックチェーン」
イタリアから始まった「複式簿記」がルネサンスを加速させました
「簿記の知識はあった方がいいよ」そんな言葉をたまに聞きますよね。このような会話に出てくる「簿記」は「複式簿記」というタイプであることが多いのですが、この「複式簿記」実は大発明だったんです。
(飛ばしていただいてOKですが、「複式簿記」をざっくりと説明しますね。お小遣い帳のように現金の流れだけを記録する単式簿記とは違って、借方(左)と貸方(右側)の2つの科目を記載していくものが複式簿記です。複式簿記だと、資産・負債・純資産(資本)・収益・費用という5つの大切な要素が分けられるので、財務状況と経営状況が分かり、他社との比較などもできるようになった優れものなんです。)
14世紀の中世イタリアから広まったのですが、財務経営状況がしっかりと分かるので、大銀家なども生まれ、事業も一段と大規模に行うことができるようになりました。そして教会も支援し、正しい複式簿記を行うことが美徳とされ、商人の社会的地位も高まったとされています。(教会の普及活動などを行うためにも、持ちつ持たれつの関係であったとも考えられますね。)
この変化は、ルネサンスの一つの要因とまで言われています。資本家にお金がしっかりと行き渡れば、より大きなビジネスが行えるようになりますね。たくさんの発明や芸術が一気に広がっていきました。
「会社」という制度の発明によって、大航海時代の幕が開けた
次はイギリスが始めた「株式会社」という大発明です。
ヨーロッパからアジアまで航海し、貿易によって莫大な富を築くことができる時代となりました。ただ、この航海は大冒険でそして大博打でした。嵐によって船が沈めば無一文。資本家も一人で行うにはちょっと負担が大きすぎる投資です。
そこで生まれた発明が「株式会社」でした。世界史で習う「1602年設立の東インド会社」ですね♪
株式は投資した額に対する責任のみが生じるという「有限責任」ですので、投資したお金がなくなることはあっても、無一文になることはありません。また、株式によって、投資によるメリットとリスクを薄く広げることができるため、仮に一回の航海で船が沈没してしまっても、他の航海が成功すればしっかりと利益を出すことができ、無一文になることも無くなりました。
リスクを薄めることで、人間が利益に向けて「冒険」できるようになった発明こそが「株式会社」でした。
「減価償却」というイノベーションによって、鉄道事業や重厚長大事業が進化!
大航海時代が進み、産業革命が始まり、マンチェスターの綿工業などが栄えていきました。
1800年代に鉄道による物流の革命が始まっていきますが、ここで大きな課題がありました。鉄道は線路や車体などが必要で、初期投資が莫大すぎて、事業を始めても当分の間は利益が生まれず、株主への配当が払えません。そうなると、投資したいという資本家も現れず、マネーが入らないことから、鉄道というイノベーションの普及が阻害されてしまうんです。
そこで発明された考え方こそが「減価償却」でした。ざっくりとは、初期投資を費用とせず「資産」とし、一定の期間でゆっくりと「費用」として負担できるようにしていきました。そうすると、どうなるか?費用が小さいため、「利益」が最初から生まれ、株主に配当を支払うことができるようになるんです。マネーが入ったので、鉄道が一気に普及していきます。
イノベーションが爆発的に普及する影には、マネーが回るためのこんな発明もあったんです♪
その後も、色々な発明がなされています
「ファイナンス」「ETF」「ブロックチェーン」など
結構長くなってしまったので、ここからは少し駆け足で紹介していきますね(笑)
・1952年頃から始まったファイナンス理論などによって、人々は企業や債権の価値を正しく測ることに挑戦してきました。
・そして、ETFという画期的な手段で、多くの人々が低い手数料で幅広い投資を行うことができる世界になりました。
・現在とても注目されている発明は「ブロックチェーン」ですね。英エコノミスト誌では複式簿記以来の発明といった紹介がなされたことがあります。14世紀以来続いてきた「信用」の形が変わりうるともされています。
これら発明が世界をどのように変えていくか、とても楽しみですね。
(こちらは、「会計史」「the Economist」などからの記載です。)
おわりに
「会計」や「経済」そして、今回ご紹介したような「複式簿記」「減価償却費」などの、とても退屈そうな響きの単語にも、実はとても面白いStoryや、昔の人のイノベーション・こだわり、そして社会を変える力があったことなんかを、少し感じてくださっていたら嬉しいです。
そして、「あ、けっこう面白いかも♪」や「へぇ〜」なんて少しでも感じてくださっていたら幸いです。
これからも、脇道にそれながら、経済や企業分析の意外な楽しさをのんびりとご紹介していきますね。たまに覗いてみてください♪
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