学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)

そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。

でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。

 

前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
物価が急上昇?」についてです。

目次


・はじめに

・2021年4月:物価指数の歴史的な上昇幅

・なぜ物価がこんなに上がったの?

・詳細:なぜ世界中がこの物価上昇に注目したの?

・おわりに

はじめに

米労働省(U.S. Department of Labor, Bureau of labor statistics)が5/12に「4月の消費者物価指数(The Consumer Price Index)」を発表しました。

 

今回の発表は、その変化の大きさが想定以上だったので、世界中から注目されました。あまり馴染みのない方もいらっしゃると思いますが、実はとっても「面白い」データなんです。どんなところが面白いのか、公表内容原文なんかも一緒に見ていきながら、のんびりとご紹介させてください♫

物価指数の歴史的な上昇幅

まずは前年同月比の物価を見ていきます。

画像出典元は米労務省公式サイトです。

https://www.bls.gov/news.release/pdf/cpi.pdf

WiFiルータ Softbank E5383

前年同月比の上昇率が4・2%であったことが、世界中から注目されました。この数字は2008年9月に記録した4.9%以来の高い伸びでした。少し細かく見ていきます。

 

 

全品目指数(上図青線です。CPI All Itemsと呼ばれることもあります)は「4月までの12か月間」で4.2%上昇し、前回公表値の「3月までの12ヶ月間」は2.6%上昇でしたので、より大幅に上昇していました。

 

 

・変動が大きいとされる食料とエネルギーを除いた品目の指数(上図赤線です。「コアCPI」と呼ばれています)は、過去12か月で3.0%上昇し、前回公表値の「3月までの12か月間」の1.6%上昇よりも大幅に上昇しました。 

 

ちなみに、エネルギー指数は前年同月比で25.1%上昇しました。一年前はコロナ蔓延で、エネルギーの価格が大きく下がってましたもんね。(食料品は2.4%の上昇でした。)

 

 

 

次は前月比のデータを見てみます。

 

WiFiルータ Softbank E5383

前月比でみても、上昇率は0・9%(エネルギーと食品を除く)。こちらはなんと、1982年4月以来最大の月間上昇となりました。こんなに上昇した理由などについて、もう少し詳しく見ていきますね。

 

なぜ物価がこんなに上がったの?

一番大きく変化した指数は「中古車とトラック」で、4月に10.0%上昇しました。 これは、1953年に集計が開始されて以来、最大となる1ヶ月でした。ここが全体の指数にも大きな影響を与えています。

(ちょっと細かいのですが、All items/季節調整済データの増加の3分の1以上をこの「中古車とトラック」が占めたそうです。たしかに、1ヶ月で10%も変わっては大変ですよね)

 

 

・中古車の物価上昇ってなんで起こったの?
COVID-19
によって、飛行機や公共交通機関を使用することをためらう人は増えました。そうなると頼れるのは車くらいですね。そして今は、世界的に半導体や樹脂材料が不足しているため、新車の供給不足が発生しています。そうなると、多くの人が「ひとまず中古車でしのごう」となっていると想定できますね。多くの人が求めるものは、高くしても買ってくれる人が出てくるので、価格が上がっていきます。

他の主な項目も簡単にご紹介します

 

食品指数は、在宅食品と外食の両方の指数が上昇したため、0.4%上昇しました。  

 

エネルギーは、4月のガソリン指数の低下が電気と天然ガスの指数の上昇を相殺したため、前月比としてはエネルギー指数はわずかに低下したのみでした。(年間ではエネルギーの物価上昇が大きかったものの、月間ではさすがにそこまで変わりません。)

 

その他

ほぼすべての主要成分指数が4月に上昇しました。 中古車・トラックの指数に加えて、避難所、航空運賃、レクリエーション、自動車保険、家具などの指数が全体の増加に大きな影響を与えたと説明されていました。

詳細:なぜ世界中がこの物価上昇に注目したの?

なぜ物価を世界中の人が気にしているのかという点などについて、少しざっくりとご説明しますね。

(詳しい方は飛ばしてくださいね笑)

 

COVID-19で傷を受けた経済を復活させるために、多くの国で、政府と中央銀行が経済対策を行いました。政府がお金を配ったり、中央銀行が低金利政策などでお金を借りやすくしています。これらの対策の前提は、インフレ(物やサービスの値段が高くなること)があまり進まない状態が続くことです。

 

もし仮に想定以上に急激なインフレが続いてしまうと、人々が持っているお金の価値がドンドン下がってしまうなど、多くの悪影響があります。そうなると、低金利政策をやめて、金利を上げてお金を借りにくくして、経済に「水をかける」必要があるんです。

 

今の株価や資源などの価格は、低金利などを前提としていることから、物価上昇によって政策が変わってしまうと大きな変化が訪れる可能性がありますので、みなさんが物価をとても気にされています。

 

(お詳しい方へ:こちらの説明は少し厳密さが欠けることはご了承くださいね。)

 

 

今回の物価上昇は一時的なものとなるとの見方が多いように思いますが、アメリカの経済対策や金融政策は今までとは次元の異なる規模や考え方であったりするので、これからはこのインフレリスクは常に気にしておく必要があるかなと感じています。

おわりに

少しとっつきにくい内容ではありますが、物価や金利ってとても大事で「面白い」んです。そして何よりも、私たちのような一般の生活者にとって、その生活レベルを左右するような影響もあるため、意外に身近な内容であったりもするんです。

 

これからも、のんびりとご紹介させてください♫

 

今回も、ありがとうございました。

 

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