学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)
そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。
でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。
前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
「米国経済の今とこれから」についてです。
目次
・はじめに
・米国経済の今
・米国経済のこれから
・おわりに
はじめに
今年も細々と米国経済を見ていこうと思います。昨年と同じく、「経済ニュースって、意外に楽しいかも^ ^」なんて思ってくださると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします!
今回は、「新型コロナウイルスが経済に与えている影響は?これからどうなりそうなの?」ということをテーマに、いろいろな情報をなるべく分かりやすく、ちょっぴりストーリー仕立てで、ご紹介できたらと思っています。
(少しお詳しい方へ。米国の最新雇用統計・小売統計に加えて、ちょっと細かなISM製造業・非製造業景況指数や、最新の金融機関決算、FOMCコメントなども触れていきたいと思います。)
では、始めていきますね♫
米国経済の今①:最新雇用統計
まずは、「米国経済」の今を見てきます。多くの経済指標がありますが、最近発表された中で注目すべきはこの2点です。
・失業率 : 企業がちゃんと人を雇っているのか?人々が収入を得られているのか?
・小売売上高 : どのくらい商品が売れているのか?
まずは、新型コロナで大きな影響を受けている「雇用状況、失業率」を見ていきますね。
米国の雇用状況を見るときに頼りになるのはこちらの2つの指標です。
・じっくり見るときの「雇用統計」
米国労務省統計局(U.S. Department of Labor, Bureau of Labor Statistics, BLSとも略されます)が毎月公表しています。
・速報性のある「新規失業保険申請件数」
米国労務省(DOL)が毎週公表しているため、上記統計よりもより最新の状況、どれだけの人が失業したかが分かります。
新型コロナの影響が見えてきますので、最新状況をざっと見ていきますね。
雇用統計
12月の雇用統計(2021/1/8に発表)の結果概要は以下の通りでした。
失業率 6.7%
失業者数 1073万6千人
画像出典元:BLSレポート https://www.bls.gov/news.release/empsit.nr0.htm
非農業部門雇用者数 (事業所調査)
12月 14万人減少。11月は約33万人増加、10月は65万人増加でしたので、回復が鈍化しています。
この数字の意味合いについて、少し紹介しますね。(お詳しい方、飛ばしてください笑)
新型コロナが発生する前は、失業率は3−4%程でしたので、約3%程失業率が悪い状態であることが分かります。失業者数だと新型コロナ発生前の水準(500−600万人)から約500万人も多い状況です。人数で表すと、その影響の大きさを感じますね。
・もっと細かく:
雇用統計は単なる失業率のみでなく、内訳含めてかなり細かなレポートとなっているので、もう少し中身を見てみます。
民間の雇用はモノ作り(Goods-producing)とサービス(private service-providing)に分けられるのですが、ここに大きな差が出ています。モノ作りの雇用者は約10万人増加していましたが、サービスは約19万人減少しています。なぜサービスが減っているのか?それはレジャー・ホスピタリティ産業で約50万人雇用が減少したことが大きな影響を与えています。理由はもちろんコロナですね。
ちなみに、同じサービスでも小売は10万人強雇用が増えています。ニュースなどはとても悲観的ですが、実は悲観的になりすぎると正しく捉えることができないことが、こういった数字から見えてきます
でも、やはりこの新型コロナは注意が必要です。最近より猛威を振るっていますが、月毎の情報はやはり少し過去の情報となります。そんな時に見るデータが「新規失業保険申請件数」です。
新規失業者申請件数
2021/1/14に発表された件数を見ていきますね。(画像出典元:DOLレポート)
96万5千件と、前の週から18万件も増加していたことが分かりました。これは、昨年8月以来の高水準となっています。新型コロナが感染拡大した昨年春の厳しい状況とはもちろん異なりますが、影響を大きく受けていることも分かります。
今後の鍵は、米国で多くの雇用を抱えるサービス業が、ワクチン普及等によって通常運行に戻ることができるか否かです。
雇用の面からだと、新型コロナ感染が拡大した当初からは、大分元に戻していますが、まだ影響があります。そして、最近の猛威で状況は再び悪化していることが見えてきました。
では、米国経済の今について、今度は「どのくらい商品が売れているの?」ということが分かる「小売売上高」を見ていきますね。
米国の今②:小売売上高
米商務省が2021/1/15に2020/12の小売売上高を発表しました。前月比0.7%の減少、3ヶ月連続のマイナスとなりました。(画像出典元:米商務省)
https://www.census.gov/retail/marts/www/marts_current.pdf
少し悪い印象ですね。ただ、少し違った見方をすることもできます。前月比だと減っていますが、「前年同月比」だと実は2.9%増加しています。そして、2020年通年でも前年比で0.6%の増加でした。政府等での各種対策が功を奏し、小売売上高としては「悪すぎる」というわけではないことも分かります。
米国の今が少し見えてきましたが、やはり気になるのは「これからどうなるの?」ですね。そこが少し見える経済データをご紹介します。
米国経済のこれから①:ISM指数
「景気」という漢字が著すように、経済を見る上で大切なことは、実は人や企業の「気持ち」や「期待」とされています。
例えば、「これから景気が回復しそうだぞ」と思われれば、「もっと商品が売れるだろう」と考え、「なら、材料や設備を今のうちに増やしておこう。人も雇っておかなきゃ」となります。そうなると、その材料や設備を受注する企業の売上にもつながり、経済全体が好調になっていきますね。
米国企業の「気持ち」「期待」を見る上で、とても便利な指標が ISM : Institute for Supply Management (全米供給管理協会)が 毎月発表している「ISM製造業・非製造業景気指数 」です。
こちらは、企業の購買担当者へのアンケートを基に作成する景況感を示す指数で、「50」を下回れば景況感が悪く、上回ると景況感が良いとされています。
先ほどの例の通り、各企業が将来の景気に期待していると「多分、これから販売が伸びるぞ、だから材料や設備を買っておこう」となりますが、その度合いが数字に現れてくるんです。つまり、この指標はちょっと先の将来の経済状況を想定する際にとても参考になる数値なんです。
では、その数値、最新どうだったのか?
「製造業」「サービス業」ごとに集計されているため、順に見ていきますね。
●ISM製造業 12月
12月のISM製造業PMI (Purchasing Managers’ Index:購買担当者景気指数) は「60.7」と、製造業のみなさまは将来の景気にかなり期待していることが分かります。そして、内訳も新規受注67.9、生産64.8、雇用51.5と堅調です。コロナ感染拡大が続いていますが、実は製造業は積極的に活動していることが見えてきます。
●ISMサービス業 12月
12月のISMサービス業PMIは「57.2」と、製造業よりは劣るものの、実はサービス業のみなさまも将来に期待していることが見えてきます。
ただ、エンターテイメント・レクリエーション、等の業種はやはり減速していました。
そして、雇用は「48.2」と50を下回っているため、製造業とは異なりサービス業の雇用環境は依然として厳しいことが分かります。こちらは、先ほどご紹介した雇用統計とも合ってきますね。(こんな繋がりが見えると、ちょっと楽しいんです♬ ←少し変わっていますね。)
ただ、総じて、新型コロナの影響はもちろん強く受けてはいますが、実は意外に堅調な経済状況であるとも言えます。なぜか?それは、政府と中央銀行がしっかりと支えているからです。
(その額が大きすぎることもあって、どこかで調整が入ります。気になるのはその時期ですよね。)
この後は、少し細かくなるので、興味がある方のみ読んでくださると嬉しいです (^^;
米国経済のこれから②:指数政府や中央銀行の支援
「今の支援が続くの?」という点が、米国経済のこれからを見る上でとても重要ですね。
まずは中央銀行のお考えを、少し細かく見ていきますね。
●中央銀行の動き
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20201216.htm
昨年12月のFOMC議事要旨が出ていました。
ここには、目標達成後には緩やかなペースでの資産購入の段階的縮小(テーパリングtaperingといいます)を開始すべきと考えていることが分かりました。
その時期なども含めて世界中が注目していたイベントが1/14に開催されたパウエルFRB議長のオンライン討論会です。資産購入の縮小時期について「今は議論する時ではない」と発言し、「利上げ時期は間近にはない」とも述べています。
間近にはないだけで、経済状況が一定程度戻ったらテーパリングが開始されるとみることが妥当ですね。今後ワクチンが普及し、経済回復に確度が出てくれば、そういった話が出てくると思います。(投資家の皆さんは、その時期をめちゃくちゃ気にされています。)
最後に、米国経済のこれからを見るために必要なことは、「米国政府がどのくらい力強い経済支援を行うか?」という点です。
●米国政府
バイデン米次期大統領は先日の14日に1・9兆ドル(約200兆円)の新型コロナウイルス対策を提示しました。
少し感覚を持ちにくいのですが、米国内総生産(GDP)はだいたい20兆円ほどなので、今回の経済対策全体の規模はその1割近くに相当しています。前回の支援と同じく、とんでもなく大きいですね。
そして、家計への支援に1兆ドルを充てるそうです。高所得層を除いて1人当たり最大1400ドルを支給するといった考えも示されていました。(高所得者向けに好評の減税には頼りすぎないところに、民主党らしさも出ています
米国経済のこれから③:金融機関の見方
経済のこれからを見る時に参考になるのは、米国の金融機関の決算です。それはなぜかというと、金融機関は経済状況を基に企業の倒産に備えて「貸倒引当金」を決算に数字としていれるためです。将来想定が厳しければ貸倒引当金を増やし、逆に改善すると見れば貸倒引当金を戻し入れます。
では、最新決算では、どうなっているのか?
米銀大手のJPモルガン・チェースが15日発表した2020年10~12月期決算は、純利益が前年同期比42%増の121億ドル(約1兆2600億円)となり、四半期で最高となりました。
その大きな要素は、経済見通しが好転し貸倒引当金の戻し入れがあったことです。(株式・債券売買などの市場部門が好調だったこともあります。)
少し細かく書くと、貸倒引当金と貸倒損失を合わせた不良債権処理費用(信用コスト)の戻し入れがありました。企業向け融資や住宅ローンを中心に、引当金で29億ドル、信用コスト全体で18億ドルをそれぞれ戻し入れていました。
ワクチン接種開始や政府等の支援、今まで示したような経済データを基に、今後の経済を期待していることが見えてくる決算でした。
(こちらは各種報道を基に作成しています。)
おわりに
とても長い文章にもかかわらず、最後までお読みくださり、ありがとうございました。
経済分析って、こんな感じで実はとても地味なんですが、それぞれの情報やデータが繋がってくるところが、ちょっぴり面白いんです♬
最後に少し弱気になりますが、経済が回復するといった見方ができますが、そこには各種リスクもあります。それらがどのような影響を与えるか、いろいろな経済データや情報を地道に見ながら、軌道修正しながら分析を進めていく必要があります。そこが、難しいところでもあり、楽しいところでもあるんです (^^) ←変わっています笑
そしてこちらは個人的な見解ですので、もちろん投資等はご自身の判断でお願いします。
改めて、ありがとうございました (^^)
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