学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)

そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。

でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。

 

前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
Line と Yahoo が1つになるって、どういうこと?」についてです。

目次


・はじめに

・まず結論:YahooとLineはZホールディングスの子会社となります

・ちょっと詳しく
-「Line」ってどんな会社?
-「Yahoo」ってどんな会社?

・かなり詳しく
-経営統合について

・おわりに

はじめに

去年の2019/11/18に、ラインとヤフーが1つになるというニュースが出ましたね。計画通りに進めば、今年2020年の10月には1つの会社になる予定です。

この話って、なかなか興味深いんです。「2つの会社が1つになるってどういうこと?」ということについてご紹介させて下さい。

また、「Lineって日本の会社?韓国の会社?」といったことや、「ファッションサイトZOZOとの関係」「Yahooが払うブランドライセンス料」など、雑談をいろいろ入れながら書いてみましたので、お時間あるときに読んでみてください。

皆様のおうち時間が、少しだけ楽しくなるといいなと感じています。

まず結論:YahooとLineはZホールディングスの子会社となります

昨年の11/18に両社が統合することが報道されました。

「経営統合」って、少し分かりにくいですよね。上のtweetのように、ソフトバンクの孫さんも関係していますし、実は韓国も関係しているんです。学生の頃に企業買収などを学んでいたこともあり、この話とても面白く感じています。

たくさん脱線しながら、ご紹介させてください。読み終わったときに1つでも「へぇ~」って思って下さったり、「経営統合」というコトバを少し身近に感じて下さると嬉しいです。

では、始めていきますね。

 

長文ですので、お時間あるときにサラッと眺めてみて下さい(笑)

Line」ってどんな会社?

誰もが使用している、日本最大規模のコミュニケーションツール「Line」は、Line株式会社が運営しています。

・Lineって、日本の会社? 韓国の会社?
そのLine株式会社は、実は韓国のネット関連企業NAVER社が株式の72.6%を保有しているんです。Line株式会社はもちろん日本の会社ですが、韓国企業の子会社だったんですね。

 

・Lineのすごさ
Lineについて、もう少し見てみます。月間利用者数は8,300万人もいます(2019年12月期四半期決算説明会資料より)スマートフォンを持っている方で、Lineが入っていない方を探す方が難しいですもんね。

 

売上高は2,275億円(2019年1月-12月)です。その内の広告関連売上が1,248億円、コミュニケーション・コンテンツ事業等が719億円、戦略事業が308億円です。

・広告事業
広告事業には、LivedoorやNAVERまとめ等からの広告も入っていました。ほりえもんさんが起業されたLivedoorは、Lineと経営統合していたんです(当時はLineという名前ではなく、NHN Japan株式会社という名前だったようです。)。そして、今のLineの社長 出澤剛さんは、ほりえもんさんのあとにライブドアの経営に携わられていた方です。

・コンテンツ事業
Lineマンガや、Line Musicなどですね。ちなみに、どのくらいの売上かご存じですか。Lineマンガは2019年10-12月で64億円、Line Musicは同じ時期で32億円です。

・戦略事業
ここにはLine Pay、ショッピング、グルメ、トラベルが入っています。LinePayの取扱高は3,550億円ですが、前年の同じ時期からは少し減ってしまったようです(-5.4%)。このあたりを成長させたいという思いなどもあって、Yahooとの統合を考えたのかもしれませんね

Yahoo」ってどんな会社?

ヤフー株式会社は1996年1月に設立され、国内初の商用検索サイト「Yahoo!JAPAN」を1996年4月に開始しています。

2019年10月1日に、ヤフー株式会社の名前(商号)を「Zホールディングス株式会社」に変更しました。そして、新しく「ヤフー株式会社」を子会社として作り、今までのサービスをそちらの会社に移しています。なので、今のヤフー株式会社は、実はとっても新しいんです♫

 

・Zホールディングス株式会社って何?
孫さんが経営されているソフトバンクの子会社です(44.6%の株式をSoftBankが保有しています)

Yahooだけでなく、たくさんの有名な会社の親会社なんです。

-まずは株式会社ZOZO
前澤 友作さんが起業されたオンラインファッションサイトですね。約4千億円で子会社としています。

-他にも、オフィス関連商品の「アスクル」、高級ホテル/旅館の「一休」、インターネットコンテンツ配信の「GYAO」、ネット銀行の「ジャパンネット銀行」、電子決済の「PayPay」、などなど。すごいですね。
(これらはみんな、SoftBankの孫会社ということになります。孫さんって、ほんとすごいですね (^^; )

 

・数字で見てみます
月間平均利用者数は6,743万人(2019年決算資料より)、インターネット広告シェアは22%で3,195億円(2018年1-12月)です。売上は9,547億円(2018年4月-2019年3月)と大きいですね。Lineは2,000億円強なので、規模はYahooの方が大きいことが分かります。(データは決算資料を参照しています。)

 

最後は少し雑談です。(「2020年3月期 第3四半期決算短信」資料より

 

・雑談① 「Yahoo!」にはライセンス料が発生しています。
Yahooというブランドを使うことで、ロイヤルティを支払っています。こんな感じで、決算関係資料上にしっかりと記載され、公表されているんです。ちょっと細かくは「(売上収益)ー(広告販売手数料)ー(取引形態の異なる連結子会社における売上原価等)」の3%です。

 

雑談の雑談:このライセンス契約はオース・ホールディングスという会社とのものです。「なんだオースって?」と思いますよね。 2017年4月に、アメリカの通信会社ベライゾン・コミュニケーションズ傘下のネット事業企業AOLが、米国Yahooの事業を買収した会社がオース・ホールディングスなんです。(ネット関連企業はやはり移り変わりが激しいですね。)

 

・雑談② Yahooの検索には、実はGoogleの技術が使われています
2014年10月21日にgoogleの検索技術に関する契約を結んでいます。契約内容を見ると「検索結果について差別化するための付加的な機能を自由に開発・運用することができる」とあるので、検索結果は変わってくるようになっているようですね。Googleへのサービスフィーについての記載もありましたが、具体的な割合は公開されていませんね。

かなり詳しく:経営統合について

なんで1つになるの? Zホールディングスはこのように語っています。
(ちょっと細かいので、お時間なければ飛ばしてください(笑))

・目指す姿
-日本において最高のユーザー体験を提供
日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニー

・やっていくこと
利用者数がNo. 1になり、法人数もNo. 1、それらをAIでマッチングし、決済/eコマース/広告等に繋げていく。

・注力事業
主に下記のような事業に注力していくそうです。

1.マーケティング 事業
国内のインターネット広告市場(2018年は約1兆5千億円の規模)でシェア3割となります。実店舗への誘導や、LINEを通じた双方向のコミュニケーションなどを拡充していく

2.集客
約8,300万人のLINEユーザーと、Zホールディングスのeコマースを連携させて、取扱高の拡大を図ります。YahooショッピングやPayPayモール、ZOZOTOWN等との連携ですね。

(個人的な感想です。AIテックカンパニーと言っているので、LINEニュースなどの閲覧記録などから、興味のある分野の値下げプロモーションなどが考えられていそうですね。日本らしく、プライバシー等にはしっかり注意したサービスを展開して下さったらいいな、と感じています。)

3.フィンテック
金融事業です。約2,000万人のPayPay累計登録者数と3,500万人を超えるLINE Pay累計登録者数を合わせ、そこに銀行(ジャパンネット銀行)、証券、保険、クレジットカードなどを付加していくことを考えているようです。

 

・経営規模
2018年の両社売上高は、Yahooが9,547億円、LINEが2,071億円なので、約1.2兆円の売上の企業となります。日本・アジアを代表する企業グループを目指すとコメントされています。

統合方法:このようにして1つの会社となります

ここは無視頂いて問題ありません。とてもマニアック(笑)

YahooとLineの統合は、このように進められる予定です。

・今の状況
Zホールディングスは、ソフトバンクが44.6%の株式を保有しています。
Lineは、Naverが72.6%の株式を保有しています。

 

・STEP1 Lineの非上場化に向けたTOB
Lineの株式を持っている方々から、ソフトバンクとNaverが株式を買い取ります。
(TOBとは、Take Over Bitの略称で、ザックリとは株式市場から株式を買い取ることです)

これによって、LineはNaverとソフトバンクが所有する会社になります。

 

・STEP2 ソフトバンクのZホールディングス株をLineに移管
ここからややこしくなります(^^;

ソフトバンクが持っているZホールディングスの株式を全てLineに渡し、代わりにLineからはLine自体の株式か現金をソフトバンクに渡します。

これによって、ソフトバンクがLineの株式を45%所有し、LineがZホールディングスの株式を所有している形となります。

 

・STEP3 株式交換+Line事業をZホールディングスの参加に移動
今までのLine株式会社は名称を変え、ソフトバンクとNaverが50%ずつ保有しつつ、ソフトバンクの連結子会社とします。ZホールディングスとLineの株式交換を行い、Line事業をZホールディングス傘下に置きます。

 

複雑ですね(^^; これらのSTEPは今後変更となる可能性もあります。今後は、2020年1月から各種申請や審査などに対応し、2020年10月に経営統合完了を目標としています。
(コロナウイルス影響がどのように出るかは、少し気になりますね。)

 

・この統合形態のちょっとした見どころ
この統合の形、実は考え抜かれた感じで、とても面白いんです☆

Zホールディングスの親会社であるソフトバンク、LINEの親会社であるNAVERが、しっかりとWin-Winとなる形だと感じました。少しご紹介させて下さい。

まずはソフトバンクから見ると?
今まで通り、Zホールディングスとその親会社はソフトバンクの子会社となります。そして、その傘下にコミュニケーションツールとして圧倒的に支持されているLINEを加えることができました。今までの企業群をより強くできそうです♫

次にNAVERから見ると?
LINEは子会社では無くなりましたが、これからできる企業群の約50%を保有できる形となったので、しっかりと影響を与えることができます。Yahoo、ZOZO、ジャパンネット銀行など、多くの企業群が一度に手に入ったような感じですね☆

 

ちょっと強引にまとめると、日本と韓国の企業が世界と戦うためにタッグを組んだ感じですね。(日本と韓国、今は国と国の関係は「良好」とは言えない面もありますが、経済的な繋がりはこういう時こそ大事だと、個人的には感じています。)

少しおまけ 世界と比べると?

一方、世界のテック企業はかなり先を進んでいます。
(こちらのグラフは、各社最近の決算データからザックリとした年間売上(単位は「兆円、ざっくりと$1=¥100」)を抜き出したものです。対象期間は2018年 or 2019年ですが、同じグラフ内で示すには少し時期がずれているので、あくまでもイメージとして捉えてください。)

まずは、似たように広告が主力のGoogleの親会社Alphabetは、2019年度通期の売上高が1618億ドル(約16〜17兆円)でした。売上の大部分はGoogleからのものとされています。LINEとYahooが統合しても、規模が一桁違いますね

ちなみに、Appleは、2019年通期の売上高が2,602億ドル(約26〜27兆円)です。iPhoneの売上が大きいとされています。

他の有名な企業の売上は、Amazonが28兆円超Microsoftが12兆円超Facebookが7兆円超といった規模感です。

 

これら企業と互角に戦っていけるような企業が日本/アジアから生まれるとすごいですね。(なかなか難しそうでもありますが、少し違う軸で戦うことができたら、とても面白そうですね☆)

 

たくさん脱線してしまい、すみません(^^;

(2020/4/19:経営統合パート、少し追記しました。)

 

おわりに

とてもとても長い文章でしたのに、最後まで読んで下さり、大変ありがとうございました☆

一つでも「へえ~」って思えるポイントがありましたら嬉しいです。

同じカテゴリの記事はこちら

「 投資家の神様 」 バフェット さん  : お父さんから娘への経済教室#12

「 投資家の神様 」 バフェット さん : お父さんから娘への経済教室#12

今回は「 投資家の神様 」「 オマハの賢人 」等とも呼ばれている、アメリカの超一流企業 バークシャーハサウェイ の会長兼CEO ウォーレン エドワード バフェット さん(Mr. Warren Edward Buffett)についてのご紹介です。簡単な経歴、尊敬を集めている理由、最新の会社状況等。

アメリカ 就業者数が480万人増加(20年6月 雇用統計 ) : お父さんから娘への経済教室#17

アメリカ 就業者数が480万人増加(20年6月 雇用統計 ) : お父さんから娘への経済教室#17

アメリカの労務省 ( US Department of Labor , Bureau of labor statistics)が7/2に「6月の米国雇用統計」を公開しました。失業率が11.1%と前月(13.3%)から改善しました。就業者数は480万人の増加となりました。少しゆる~く、ご紹介させて下さい♬

アメリカ の 小売売上高 (5月) 前月比17.7%も増えました : お父さんから娘への経済教室#16

アメリカ の 小売売上高 (5月) 前月比17.7%も増えました : お父さんから娘への経済教室#16

アメリカ 商務省 が6/16に 小売売上高 (5月)を発表。多くの方の想定を超える 17.7% の増加(前月比)となりました。実際のレポートをのんびりと読んでみると「みんなが車を買い始めたこと」「お洋服が一気に回復し始めたこと」「やっぱりパズルや本なんかが売れていたこと」が見えてきます♬