目次
・はじめに
・住宅着工件数って何?なんで便利なの?
・最新の住宅着工件数からわかること
・おわりに
はじめに
世界経済を見ていく上では、やはり世界一の経済大国であるアメリカ経済の動向を見ることが重要とされています。そのアメリカ経済を見る上で重要な指標の一つに「住宅着工件数」があります。
今回は「住宅着工件数って何?」「なんで重要なの?」といったことから「最新データからわかること」等をのんびりと解説していきたいと思います。お時間ある時にどうぞ (^^)
住宅着工件数って何?
なんで便利なの?
「住宅着工件数」はその名の通り、「一定の期間にどのくらいの数の住宅の建設が開始されたのか」なのですが、今回は「なんで便利なの?」「アメリカの住宅着工件数の見方」などについて書いていきますね。
・なんで便利なの?
経済は「お金がどのくらい回っているか」を見ることがとても重要とされています。そして、「住宅」はものすごく高価な買い物ですよね。その分お金がしっかりと動きます。
そして、住宅を買う時って、その住宅に合うオシャレなタンスやソファーやベッドなんかも書いますよね (^^) 人によっては家を買うタイミングで生活に合わせた車を買うような人もいると思います。住宅だけでも十分大きなお金が動くのに、他にも大きな影響がある買い物が「住宅建設」なんです。
(ちょっとわかりにくく書くと、住宅建設は他の耐久消費財の需要への波及効果が大きい、なんて表現されることがあります。)
そのため、この住宅着工件数を見ることで、どのくらいのお金が動きそうか、過去の傾向と比べてみることで今どのような状況にあるのか、等が少し見えてくるんです♬
・アメリカの住宅着工件数の見方
米商務省のセンサス局(Census Bureau)が毎月公表しているレポート (MONTHLY NEW RESIDENTIAL CONSTRUCTION)に最新情報が掲載されます。
下の画像は2021/1/21に公開された「DECEMBER 2020」のレポートの一部です。
(画像出典元:https://www.census.gov/construction/nrc/pdf/newresconst.pdf)
ちょっとややこしくなりますが、どんな情報が載っているのかご紹介しますね。
・新築住宅の着工件数 (上の画像の「Housing Starts」です。)
住宅建設は季節ごとに変動するため、「この数字だと、年間の台数はこうなる見込み」という季節調整を含めた年率換算の値が公表されています。
(月ごとのレポートであるため、月ごとの実際のデータだと思ってしまいそうになりますが、それだと多すぎですね ^^; )
・新築住宅の完成件数 (「Housing Completions」です。)
住宅を作り始めた件数とともに、住宅が完成した件数も見ることができます。
・建築許可件数 (「Building Permits」です。)
こちらは建設する際の申請が許可された数字です。こちらが出された後で、今後実際に建設が始まるので、ちょっと将来が分かってしまう数字なんです。
(このようなデータを「先行指標」なんていいます。)
では、実際にこの時点で最新(2020年12月が対象)のレポートを一緒に見ていきますね。
最新の住宅着工件数からわかること
まずは、上でご紹介した3つのデータをご紹介します。
①住宅着工件数/Housing Starts
約167万件
②住宅完成件数/Housing Completions
約142万件
③建築許可件数/Building Permits
約171万件
特に重視されている「①住宅着工件数」について見ていきますね。
年率換算なので、年間に約167万件もの住宅の建設が始まるような状況にあることが分かります。ただ、この数字が多いのか少ないのか、ちょっと分かりにくいですよね。そんな時は、まずは過去の数字と比較してみてください。
前年同月は約159万件でした。その値を、今回5.2%も上回っています。昨年は新型コロナの影響などなく、経済の状況も大変好調だったのに、それよりも今年の方が住宅を建設する人が多いんです!
なんでだろう?って思いますよね。ここをいろいろと調べてみるのが面白いんです (><)
実は、この住宅着工件数の増加は、まさにその新型コロナが影響しているんです。
・人々のライフスタイルの変化
このレポートには実は内訳として一戸建て住宅と集合住宅が分けて記載されています。それを見ると、一戸建て住宅が前年同期比で約27.8%も増加 (20年12月 約134万件、19年12月 約105万件) しているんです。一方で、5ユニット以上の集合住宅は前年同期比で約40.0%も減少(20年12月 約31万件、19年12月 約52万件) しています。
新型コロナによってテレワークがグッと普及しました。都会の集合住宅に住むのではなく、少し郊外に一戸建てを建てて、テレワークを選んでいる方が増えていることがデータとして伺えますね。
・住宅購入のしやすさ
ライフスタイルの変化のみでは、この増加は少し説明しにくいです。もう一つの要因も、新型コロナ関連です。
政府や中央銀行の経済支援により、今はとても金利が低い状況となっています。住宅という大きな買い物は基本はローンを組みますが、昨年と比較して明らかに安い金利状況です。
失業等で厳しい状況に陥っている方がいますが、他の方にとっては実は大きな買い物をしやすい時期でもあります。
おわりに
いかがでしたか?少し長かったですね (^^;
「住宅着工件数」という少しとっつきにくい情報だと思いますが、そのデータの裏には、実は人々のライフスタイルの変化や、「金利も安いし、よし住宅を買おう!」なんていうお父さんやお母さんの声が聞こえてくるんです。
新型コロナの経済影響は甚大ですが、実は住宅着工が増えているなどを踏まえつつ、今や将来の経済を見てみると、少し違った側面も見えてきます。
少しでも楽しんで下さっていたら嬉しいです♬
今回もありがとうございました。
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